ブログ食中毒関連

岡山県で腸管出血性大腸菌感染症注意報 香川県でも増加

食中毒関連
キッチンで調理台とまな板の衛生管理を行う様子

岡山県では、腸管出血性大腸菌感染症の患者等が増加したことを受け、2026年4月27日に県内全域へ注意報を発令しました。

瀬戸内海を挟んだ香川県でも、7月の届出数が前年同期を上回っています。

加熱不十分な肉だけでなく、生肉を扱った調理器具から野菜などへ菌が移る「交差汚染」にも注意が必要です。

岡山県で注意報が継続

岡山県は、4月に入ってから腸管出血性大腸菌感染症の患者数が10人以上となったことから、2026年4月27日に注意報を発令しました。

4月中の発令は、注意報制度を開始した2001年以降で過去2番目の早さです。県の発表ページは8月14日にも更新され、注意報が継続されています。

岡山県

4月27日に県内全域へ注意報を発令。食品の十分な加熱や手洗いを呼びかけています。

香川県

7月に11件を報告。7月末までの累計は37件で、前年同期の21件を上回っています。

香川県では、7月に報告された11件のうち8件がO157でした。感染症月報の中で、肉類の十分な加熱や、生肉を扱った調理器具の洗浄・除菌を呼びかけています。

岡山県と香川県の発生に直接的な関連があるという発表はありませんが、周辺地域でも注意が必要な状況です。

鳥取県でも、西部地区を中心に発生が多く、2026年5月末時点ですでに20件を超えたとして注意を呼びかけています。

腸管出血性大腸菌とは

腸管出血性大腸菌は、O157、O26、O111など、ベロ毒素を産生する大腸菌による感染症です。

主な症状は腹痛、水様性の下痢、血便などです。症状が現れない場合がある一方、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症など、重い合併症を起こすこともあります。

岡山県は、有症者の6~7%がHUSや脳症などの重い合併症を発症すると説明しています。

特に乳幼児、高齢者、抵抗力の弱い人は重症化しやすいため注意が必要です。

腸管出血性大腸菌は、少量の菌でも感染する可能性があります。食品だけでなく、調理器具を介した交差汚染や、患者の便などを介した二次感染にも注意しなければなりません。

加熱不十分な肉による食中毒も発生

2026年1月には、山口県内の飲食店が提供した食事を原因とする腸管出血性大腸菌O157の食中毒が発生しました。

原因食品として推定されたのはレアステーキ丼です。喫食した7人全員が発症し、5人が医療機関を受診、3人が入院しました。このうち10代女性1人に尿毒症の発症が確認されています。

肉は表面が焼けていても、内部まで十分に加熱されていないことがあります。厚生労働省は、腸管出血性大腸菌は75℃で1分間以上加熱することで死滅するとしています。

家庭で気をつけたいこと

家庭では、肉類を十分に加熱するだけでなく、生肉に触れた手や調理器具から、ほかの食品へ菌を移さないことが重要です。

肉類は中心部まで十分に加熱する

生肉を扱った箸やトングで、加熱後の肉を取らない

生肉を切ったまな板で、そのままサラダ用の野菜を切らない

肉汁が生野菜や調理済み食品に付かないようにする

生肉は容器や保存袋に入れ、ほかの食品と分けて保管する

調理前、食事前、排便後、おむつ交換後には手を洗う

調理の順番を「生で食べる野菜から先に、肉類は後にする」と決めておくことも、交差汚染を防ぐ方法のひとつです。

飲食店・給食施設では器具の使い分けを

飲食店、福祉施設、保育施設、学校給食など、多くの食事を扱う現場では、家庭以上に明確な衛生管理ルールが必要です。

肉用と野菜用で、まな板や包丁を分けて使用することが理想です。調理器具を色分けすると、用途をひと目で判断しやすくなり、取り違えの防止につながります。

生肉用と野菜用のまな板、包丁、トングを色分けして使用する例

生肉用と野菜用の器具を分けて使用し、交差汚染を防ぎましょう。

生肉用と野菜用で、まな板・包丁を分ける
生肉用と加熱後の食品用でトングを分ける
生肉を扱う作業と盛り付け作業を区分する
生肉を扱った手袋で冷蔵庫などに触れない
ふきんは用途別に分け、使い回さない
作業後は調理台や器具を十分に洗浄する
洗浄後に用途に合った方法で除菌する
色分けは現場のルールとして統一

業務用の調理器具には、カラーラインやカラーピンが入ったまな板、色付きの柄を使用した包丁、色分けされたトングなどがあります。

色の使い方に、すべての施設で共通する絶対的な決まりがあるわけではありません。大切なのは、施設内で用途と色の組み合わせを決め、スタッフ全員が同じルールで使用することです。

洗浄してから除菌することが基本

調理器具や調理台に食品のかす、油分、肉汁などが残っていると、十分な衛生管理につながりません。

汚れを落とす

十分に洗浄する

用途に合った方法で除菌する

清潔な状態で乾燥・保管する

ジェスパを使用する場合も同様です。ジェスパには洗浄力がないため、目に見える汚れを十分に落とした後、調理器具や調理台全体に噴霧してください。

除菌剤をかけるだけで終わらせず、洗浄と除菌を分けて考えることが大切です。

便やおむつからの二次感染にも注意

腸管出血性大腸菌は、食品だけが感染経路ではありません。患者の便や、便で汚染された手指、トイレ、ドアノブなどを介して、家庭や施設内で感染が広がることがあります。

排泄介助やおむつ交換を行った後は、石けんと流水で丁寧に手を洗いましょう。手袋を使用した場合も、外した後の手洗いが必要です。

腹痛、激しい下痢、血便などの症状がある場合は、自己判断で下痢止めなどを使用せず、早めに医療機関へ相談してください。

夏から秋にかけて引き続き注意を

岡山県では注意報が継続され、香川県でも前年同期を上回る届出が確認されています。

十分な加熱、手洗い、調理器具の使い分け、洗浄後の適切な除菌など、基本的な衛生管理を改めて確認しておきましょう。

2026/08/19

手荒れ・傷の衛生管理

食中毒関連

食品工場・飲食店で気をつけたい
手荒れ・傷の衛生管理

手洗いだけでは見落としやすい個人衛生の基本

手洗いとあわせて、手荒れや傷の状態確認も大切です。

食品工場や飲食店では、手洗いの徹底が衛生管理の基本です。
ただし、手を洗うことだけに意識が向きすぎると、手荒れや指先の傷など、見落としやすい部分があります。

食品工場や飲食店では、手洗いの徹底が衛生管理の基本です。
しかし、手を洗うことだけに意識が向きすぎると、見落としやすい部分があります。

それが、手荒れや指先の傷の管理です。

手荒れや小さな傷は、日々の作業の中では珍しいものではありません。
水仕事が多い職場では、手洗いや洗浄作業、手袋の着脱などにより、手が荒れやすくなることもあります。

ただし、食品を扱う現場では、手荒れや傷を「よくあること」で終わらせず、衛生管理の一部として考えることが大切です。

手洗いと手指衛生のイメージ

手洗いとあわせて、手荒れや傷の状態確認も大切です。

手洗いとあわせて、手の状態確認も大切です

手洗いは、食品衛生の基本です。
しかし、手荒れや傷がある場合、手洗いをしていても注意が必要なことがあります。

特に、指先や手の甲、爪まわりなどは、作業中に食品や器具に触れやすい部分です。
手荒れや傷がある場合は、食品に直接触れない工夫や、作業内容の見直しが必要になることがあります。

手の傷と黄色ブドウ球菌について

食品安全委員会では、黄色ブドウ球菌について、手に傷などがあると繁殖して食品に付着する可能性が高くなると説明しています。
また、黄色ブドウ球菌による食中毒は、菌が作る毒素によるもので、この毒素は加熱しても無毒化されにくいとされています。

参考:食品安全委員会「バーベキュー・焼肉による食中毒を防ぐために」

そのため、食品現場では「洗えば大丈夫」と考えるだけでなく、手の状態まで確認することが大切です。

手荒れや傷がある場合に気をつけたいこと

手荒れや傷がある場合、まず大切なのは、食品に直接触れないようにすることです。

厚生労働省の資料でも、調理者の手や指に傷があったり、傷口が化膿している場合、そこから食品が汚染され、菌が増えて毒素が作られることで食中毒が発生することがあると説明されています。

参考:厚生労働省「食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント」

現場では、たとえば次のような対応を決めておくと安心です。

  • 手荒れや傷の状態を作業前に確認する
  • 傷がある場合は、食品に直接触れる作業を避ける
  • 必要に応じて手袋を使用する
  • 手袋を使用する場合も、交換や衛生管理を徹底する
  • 化膿している場合や状態が悪い場合は、作業内容を見直す
食品現場で手袋を使用して作業するイメージ

手荒れや傷がある場合は、食品に直接触れない工夫や作業内容の見直しも大切です。

手袋を着用していれば必ず安心、というわけではありません。
手袋の表面が汚れたまま作業を続ければ、手袋を介して食品や器具を汚染してしまうこともあります。

手袋は「つければ終わり」ではなく、清潔な状態で使い、必要に応じて交換することが大切です。

個人の判断だけにしないことが大切です

手荒れや傷の状態は、人によって感じ方が違います。

「このくらいなら大丈夫」
「忙しいからそのまま作業しよう」
「手袋をしているから問題ないだろう」

このように、個人の判断に任せすぎると、現場の衛生管理があいまいになりやすくなります。

食品工場や飲食店では、手洗いのルールだけでなく、手荒れや傷がある場合の対応も、あらかじめ共有しておくことが大切です。

ルール共有のポイント

  • 作業前に手指の状態を確認する
  • 傷がある場合の報告ルールを決める
  • 食品に直接触れる作業を避ける基準を決める
  • 手袋を使う場面と交換タイミングを決める
  • 新人スタッフやアルバイトにも同じ基準で伝える

このような形で、現場全体でルールを共有しておくと、判断がぶれにくくなります。

基本の見直しが、食品衛生の土台になります

食品衛生というと、設備や薬剤、洗浄方法に目が向きやすいものです。
もちろん、それらも重要です。

しかし、実際の食品現場では、日々作業する人の手指の状態も大切な衛生管理の一部です。

個人衛生の基本として、次のような点を日々確認しておきたいところです。

  • 手洗いをする
  • 爪を短く保つ
  • 手荒れや傷を確認する
  • 必要に応じて手袋や作業内容を見直す

こうした基本を積み重ねることで、現場全体の衛生意識も高まりやすくなります。

前回の記事では、爪の長さと衛生管理について紹介しました。
今回の手荒れ・傷の管理とあわせて、日々の個人衛生を見直すきっかけにしていただければと思います。

2026/04/19

横浜市 黄色ブドウ球菌による食中毒 追報(指導内容)

食中毒関連

8月5日記者発表資料

うなぎ弁当による食中毒の第二報として、横浜市保健所が発表資料として内容を公開したため、

今後、食中毒対策の参考に一部内容を転記しております。

飲食店調理従事者の方、施設の調理従事者の方は、ご参考にしていただければと思います。

4 推定される食中毒発生の要因と指導内容

推定される要因 指導内容
調 理 施 設 内 調理に従事していた従業員の手洗いが不十分であ り、手袋の着用実態も認められなかったことから、 従業員の手指を介した汚染の可能性がある。 ・手洗い器は常時使用できる状態を保ち、手 洗い方法(頻度、使用する薬剤及び使用方 法)について見直すこと。
当日は、体調・手指の傷等の健康状態に関する記録 表が十分に記載されておらず、責任者による健康状 態の確認もできていなかった。 •調理従事者の手指の傷、荒れ等を含む健康 確認を徹底し、記録を適切に実施すること。 また、手指の傷等が確認された場合は、手袋 の着用等の対策を徹底すること。 •HACCPに沿った衛生管理の記録を適切に行 うこと。
調理施設内のふきとり検査で同菌が検出されたこと から、施設が汚染されていた可能性がある。 •施設内や調理器具等は適切に清掃消毒を実 施すること。
そ の 他 営業者による従業員への十分な衛生教育が行われて いなかった。 ・全ての調理従事者に、本件をふまえた衛生 教育を受講させること。
弁当の一部は、調理場の外である客席で盛付を行っ ていた。 ・許可を得た調理場以外での調理行為を行わ ないこと。
販売された弁当が長時間保管されたことにより、同 菌が当該食品中で増殖した可能性がある。 •営業者で定めた食品の保管時間と保管方法 を遵守すること。
当日の調理工程の全体(各従事者の作業内容)を把 握している者がおらず、作業に応じた衛生上の指示 や教育が適切に行われていなかった可能性がある。 •調理工程ごとの衛生管理が適切に行えるよ う体制を整えること。 •営業者で定めたHACCPに沿った衛生管理を 徹底すること。
生産能力を上回る弁当•総菜の調理を行ったこと で、従来の工程と異なる作業や保管が生じ、食中毒 発生の危害を増大させた可能性がある。

※HACCP とは食品の製造工程を分析し、重要な管理点を定めて管理することにより食品の安全を
衛生管理の手法です。原則全ての事業者に「HACCP に沿った衛生管理」が制度化されています。

ジェスパは平成20年8月に第三者機関にて、黄色ブドウ球菌の効果検証を実施しています。

今回検出された原因菌は黄色ブドウ球菌ですが、「推定される要因」に記載されている内容を施設の現状と照らし合わせて、再点検してはいかがでしょうか。

発表資料の原文はこちらからダウンロード可能です。

リンク先は、横浜市記者発表2024年度 です。

リンク先が消失した場合、原文はこちらにもアップロードしています。

2024/08/13

有毒植物の食中毒が発生しています

食中毒関連

トリカブトのおひたし スイセンの炒め物

ニラとスイセンを間違え、炒め物にして食べてしまい、救急搬送

3月16日新潟県 男女2名

モニジガサと思われる野草を採取し、トリカブトを調理。食べてしまった男性が救急搬送

3月11日佐渡市

ニラとスイセンを間違えることによる食中毒が最も多く、昨年4月には京都の支援施設で提供された給食を食べた園児12名が食中毒症状を発症しました。

施設内で栽培されたものを調理したため、自宅や施設内の庭で栽培したものを調理する場合は、十分な注意が必要です。

また、スイセンの毒は火を通しても無毒化しないことにも注意が必要です。

トリカブトは三大毒草の一つで、最悪死に至ることもあります。

有毒植物から身を守るためには、「採らない!食べない!売らない!人にあげない!」という標語を覚えておくことが重要です。食用と判断できない場合は、この標語を思い出してください。

学校で栽培したじゃがいもからの食中毒も、毎年のように報告されています。

じゃがいもの芽を取り除くことは、基本中の基本ですが、深く大きく切ることも重要です。特に家庭菜園や学校栽培などでは、皮も厚めに剥いてから使うようにしましょう。

緑色に変色しているじゃがいもには、ソラニンやチャコニンという天然毒素が多く含まれている可能性が高く、加熱しても毒素は分解されません。

じゃがいもは育てやすい野菜とされていますが、調理する際には十分注意することが必要です。

詳しくは、農林水産省 ジャガイモによる食中毒を予防するために をご覧下さい。

動画もあり、わかりやすいです。

 

2023/04/19

春先に気をつける、温度管理

食中毒関連

食中毒を起こす細菌が活発になる温度

朝晩は少し寒いですが、昼間は汗ばむ気温になる季節です。

ついつい、冬の寒い時期と同じように、「すぐ使うから」「すぐ食べるから」と食材や買ってきたお総菜を放置していませんか?

一般的には、細菌が活発化する温度は20℃~40℃と言われてますが、HACCP(ハサップ)では、10℃~60℃を「危険温度帯」と定義しています。

細菌によっては、10℃以下、60℃以上であっても死滅しません。細菌の増殖スピードが遅延するだけです。

また、増殖スピードは細菌によって異なり、発症菌数に関係してきます。

どの程度の細菌数量を摂取したかによって、発症する数量ですが、100個程度で発症するものもあれば、10万個以上で発症する細菌もあります。


食中毒予防の三原則は、「つけない」「増やさない」「やっつける」です。

三原則の一つをクリアすると、リスクは軽減されます。

上記のグラフは、食中毒の発生件数です。意外と警戒される夏場は少なく、10月と3月が多い月となっています。

暖かくなる時期、寒くなっていく時期、季節の境目は警戒も緩んでしまうのでしょうか。

石川県金沢市では、毎年3月下旬から4月下旬まで飲食店へ立ち入り検査をしています。調理器具の汚れ具合や、冷蔵庫の温度を測って、適切に管理しているか検査しているそうです。

この時期、日中20℃を超えることも多く、食中毒を起こす細菌が活発化し増殖させないためにも、買ってきた食材等はすぐ冷蔵庫に入れて下さい。

また、冷蔵庫内の温度を定期的に確認し食中毒予防につなげましょう。

2023/03/29